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第4章「怪物たちの死闘」|06:跋扈する怪物たち

2015年08月26日

先読み情報
エネミーズ/1996 1

VIEW:三原一也 
SHEET:1-4-006
DATE:1996/08/13 TUE 15:55 
PLACE:塔 

野に放たれた怪物たちに関して陶子が説明を始める


「……こいつ、旦那と姑、殺したのかよ……マジか」

 吐き捨てるように言った波岡の横で、一也は表情を険しくした。

「それでどうしたんだ? そこに陶子が来たのか?」
「そういうこと」

 答えたのは〈セイレーン〉ではなく、妹の冴子の口を借りている陶子だった。

「でも、椿さんが特別なわけじゃない。さっき、普通って言ったでしょ? 普通なの」

 冴子の言葉の意味を即座に理解して、一也は背中に寒いものを感じた。それは巧も同様だったようで、一也に不安そうな視線を向けてきた。

「そう。その通り」陶子が続けた。「椿さんみたいに、怪物になったことを自覚して、その力を使っている者は、ずいぶんいるの。あれからもう、何日も経ってるし、なにもない方がおかしい」
「陶子……おまえ、自分がなにを言ってるかわかってるのか?」

 陶子……冴子の身体はこくりとうなずいてみせた。

「覚えてる、一也? 〈スライム〉と〈ガネーシャ〉のこと」
「……」

 一也は沈黙で応じたが、当然、忘れられるはずがない。〈スライム〉と〈ガネーシャ〉、その二体の怪物は、あの六本木の地下神殿で一也を襲い、片腕をもぎとった憎い相手だ。

「〈スライム〉に変身したのは、青山友彦という元教師。〈ガネーシャ〉に変身したのは稲川保。親に出してもらったお金で、マニア向けの自転車のショップをやっていた」

 陶子の命令を待っているのか、〈セイレーン〉は動かない。

「八月九日の夜。自分が怪物に変身できると知った青山は、早速〈スライム〉になって自分を学校から追い出した教頭を殺害した。粘液状にした自分の身体を、教頭の口の中に潜り込ませて窒息死させた。そんな方法で人を殺せば殺人とは思われない。そう考えたから」

 冷静な口調で陶子は続けた。

「〈ガネーシャ〉になった稲川保。そもそも彼はマニアが昂じて自転車のショップを始めたけど、経営に関してはやる気も才能もゼロだった。経営が困るといつも父親に泣きついてなんとかしてきたけど、その父親も最近は渋い顔をするようになっていた。そこで彼は〈ガネーシャ〉に変身して、父親を襲った。当然、遺産目当てでね。父親が運転していた車を狙って、ぺしゃんこに潰した。警察は息子の保に疑いを向けたけど、車を簡単に潰せる存在と結びつけられるはずもない。だから、きっと事件は迷宮入り」
「……」

 一也が黙っていると、陶子はつけ加えた。

「彼らだけじゃないんだよ」

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