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第4章「怪物たちの死闘」|12:ノヴァ

2015年09月01日

先読み情報
エネミーズ/1996 1

VIEW:三原一也 
SHEET:1-4-012
DATE:1996/08/13 TUE 16:33 
PLACE:塔 

〈セイレーン〉はノヴァ化する。その変容だけで塔は瓦解を始める


 ──周囲を焦がす熱は更に高まっていた。
 一也は実際、髪の毛が焼けるチリチリという音を耳にした。

「──ノヴァ化、だ!」

 一也が叫ぶと同時に、〈セイレーン〉を中心に爆発と収斂が同時に起こった。
〈セイレーン〉の身体が轟音とともに、バラバラに吹き飛んだ。その一瞬の後、彼女を中心として、塔を構成していた壁、床、天井の石材も砕けた。その破片が嵐のように渦巻き、やがて〈セイレーン〉の肉体が存在していた空間に吸い込まれていった。とても目を開けていられるような状況ではなかった。一也は頭を抱え、瞼をきつく閉じた。
 ──そして。砕けた石材の欠片がひとつの塊となった。それは体長にして三十メートル近い、巨大な怪物として現れた。
 ──〈セイレーン〉……ノヴァ体。

「……ノヴァ」一也は呟いていた。
「三原さん、マズいですって」

 気づくと、一也は〈バグ〉に抱えられていた。
 三十メートルの巨体の〈セイレーン〉。
 それはすでに人魚の形さえ失っていた。
 鋭い鱗で全身を覆った、巨大な怪魚。それが今の〈セイレーン〉の姿だった。塔の展望階のフロアを破壊し、宙に舞っている。
 鮫のような口は自動車でさえひと呑みできそうな大きさだ。各所から突き出したヒレは剣のように鋭く光っている。
 ノヴァ体となった〈セイレーン〉の出現により、展望フロアは半壊し、天井も崩れはじめた。

「!」

 一也は自分の左胸に意識を集中させた。
 ──〈ドラゴニュート〉に!
 そう自らの身体に変身を促した。しかし、その身に変化は起こらなかった。

(さっきので力を使い果たした?)

 そう判断した時には遅かった。天井は完全に崩壊し、大小の石片が降り注ごうとしていた。

「三原さん!」

〈バグ〉が一也の身体に覆い被さった。次の瞬間、その硬質の身体から、パンパンパンッと太鼓を連打するような音が響いた。〈バグ〉がその身を挺して、石の雨から一也を守っているのだ。

「山城君。……いい、もういい。適当なところで逃げてくれ!」

 一也は必死に叫んだ。

「……ダメですよ、三原さん、変身できないんでしょ? 僕が逃げたらおしまいじゃないですか」
「だけど……ダメだ。ノヴァ体になった〈セイレーン〉には勝てない。逃げるんだ!」

 一也はまた、必死に叫んだ。

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