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第4章「怪物たちの死闘」|25:〈ドラゴン〉出現

2015年09月14日

先読み情報
エネミーズ/1996 1

VIEW:〈勇者〉 
SHEET:1-4-025
DATE:19XX/XX/XX 06:29 
PLACE:新宿 西武新宿駅 

現代の東京において〈勇者〉たちと竜の魔王が対峙する


 新宿プリンスホテルに風穴が開いた。

 客室のある十階から十五階、建物のちょうど真ん中が吹き飛ばされ、煉瓦色の破片は道を挟んだパチンコ屋やファストフード、飲食店の店舗だけではなく、歌舞伎町全域を襲い、遠くは新宿区役所の外壁にまで被害を与えた。建物の足元では大きな瓦礫の落下による衝撃で、アメリカン・ブルバードに並ぶショップはすべてのガラスが割れ、直撃された自動車が何台も押し潰された。
 穿たれた大穴から立ち上る黒煙、地面から湧いた土煙があたりを覆い尽くし、その場に居合わせた人々は視界のほとんどを奪われ、状況を理解することさえできなかった。


「──とうとう出てきたか」

〈勇者〉が呟いた。
 彼の目は、厚い煙に覆われた先──新宿プリンスホテルの建物の向こう、JRの線路に立ち、蠢いている巨大な影の存在を確かに捉えていた。

「俺にいちばんにやらせろ。すぐに斬り刻んでやる」

〈戦士〉が低い声で言えば、

「あれこそは邪悪の“核”ともいえる存在です。あの炎で灼かれたとあっては、“主”の慈しみをもっても、再生は難しいのですよ」

〈僧侶〉がそう諭す。

「……ならば、まずはあたしが〈光壁〉でみんなの守りを固める」唯一の女性である〈魔法使い〉が、歌うように言った。「接近してしまえば、こちらのものだ。いつも通りでいいだろう」
「まずはそれでいい」〈勇者〉は大きくうなずいた。「だが、油断はするな。あれこそが我々の最後の敵。この世界に暗黒をもたらす者。まさしく魔王たる者だ……」

〈勇者〉の言葉が終わらないうちに、再び周囲の空気が震えた。新宿プリンスホテルの端、職安通りに近い側が大きく崩れ、巨大な火球が飛び出してきた。それは〈勇者〉たちのすぐ横を掠めた。彼らが立っていた灰色の屋根──カプセルホテルのグリーンプラザ新宿の屋根を切り裂き、背後の大久保病院の建物を破壊し、熔解させた。

「──来るぞ」

〈勇者〉の視線の先、新宿プリンスホテルは中央と端を破壊され、すでに建物の上半分を支えきれなくなっていた。
 積み木が崩れるように倒壊していく建物の向こうから、それを意に介することもなく、赤黒い巨体がとうとう姿を見せた。
 体長にして三十メートル。その尖った頭部から長い尻尾の先端まで入れれば、優に六十メートルを超える。

 ──〈ドラゴン〉が。

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