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第4章「怪物たちの死闘」|26:〈勇者〉対〈ドラゴン〉

2015年09月15日

先読み情報
エネミーズ/1996 1

VIEW:〈ドラゴン〉 
SHEET:1-4-026
DATE:19XX/XX/XX 06:32 
PLACE:新宿 西武新宿駅 

〈勇者〉たちと巨大な〈ドラゴン〉の戦いが始まる


 彼は──〈ドラゴン〉はその翠色の瞳であたりを睥睨した。
 彼は元々、この場所のことをよく知っていた。
 西武新宿駅。西武新宿線の始発駅であり、建物の上階はショッピングモールとホテルが入っている……否、入っていた。西武線のホームがある階までを残し、建物のほとんどは崩れ落ち、膨大な量の瓦礫が背後のJRの線路、そして前に広がる、歌舞伎町の隅の雑多なビル群を押し潰していた。
 その惨禍には多くの人々が巻き込まれていた。巨大な彼の感覚からすると、文字通り、虫けらのような小さな存在たちが亡骸となり、運よく死を免れた者たちも、彼の恐ろしい姿に魂を奪われ、逃げることさえできずにいた。

 ──これを自分がやったのか。

 彼の脳裏にふと、ある小さな感情がさざめいた。だが、彼の精神は破壊と攻撃の衝動に染められており、それは水面に呑み込まれる波紋のように、すぐに消え失せてしまった。
 敵が、来たからだ。
 宿命の敵が来たからだ。
 忌まわしき者ども。
 彼の眷属である怪物たちを、一匹残らずなぶり殺しにし、遂に彼までをもこの場に引きずり出してきた者たち。
 青い衣に黄金の剣を手にした〈勇者〉。
 白銀の鎧に身を包み、長大な槍を構えた〈戦士〉。
 清浄な神衣をまとい、全身に光を宿らせた〈僧侶〉。
 漆黒の〈魔法使い〉はねじ曲がった杖を掲げ、呪文の詠唱を始めていた。
 その姿に、〈勇者〉たちから向けられた鋭い敵意に、〈ドラゴン〉は吠えた。
 大きく裂けた口の奥から火球が吐き出され、歌舞伎町を越えて職安通りに並んだビルのいくつかをたちまち燃え上がらせた。
 同時に甲羅のように硬い背中が割れ、翼が広がった。
 翼は蝙蝠のそれに似て、身体と同じく赤黒い。翼長は倒壊したプリンスホテルの幅とほぼ同じ、およそ百メートルに及んだ。
 その翼がおもむろに動いた。わずかいちどの羽ばたきに、周囲の瓦礫がふわりと浮き、四方に舞った。だが、〈勇者〉たちは恐れることなく、その中を飛翔してくる。〈魔法使い〉の〈光壁〉によって周囲の物理現象をキャンセルしているのだ。
〈勇者〉たちは弾丸のように〈ドラゴン〉に迫ってきた。〈魔法使い〉と〈僧侶〉は〈ドラゴン〉の足元に降り立ち、支援の態勢に入った。〈戦士〉はその鈍重そうな見た目に反して、空中で巧みに体勢を変えると、槍を突き出し、〈ドラゴン〉の腹めがけて突っ込んできた。
 そして、〈勇者〉は……。

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