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第4章「怪物たちの死闘」|27:決戦、始まる

2015年09月16日

先読み情報
エネミーズ/1996 1

VIEW:〈ドラゴン〉 
SHEET:1-4-027
DATE:19XX/XX/XX 06:36 
PLACE:新宿 西武新宿駅 

西武新宿駅前にて、〈勇者〉と〈ドラゴン〉の戦いは続く


〈戦士〉は砲弾のように空を駆け、〈ドラゴン〉に迫った。
 すかさず、〈魔法使い〉が呪文を詠唱すると、〈戦士〉の鎧と長大な槍に紅蓮の炎が宿った。見えない力に押され、〈戦士〉は虚空で更なる加速をかけると、〈ドラゴン〉の腹めがけ、体当たりを仕掛けた。
 しかし、〈戦士〉の決死の覚悟、そして〈魔法使い〉の支援を受けた槍の威力をもってしても、〈ドラゴン〉の分厚い表皮を破ることはできなかった。弾かれた〈戦士〉は山なりに飛ばされ、西武新宿駅前の瓦礫の山へと突っ込んでいった。

 ──愚かな。

〈ドラゴン〉は笑った。
 怪物の王たるこの自分に、そのようなささやかな攻撃が効くはずもない。
 その瞬間、背中、首筋のあたりに受けた激しい痛みに、〈ドラゴン〉の意識が途切れかけた。
〈勇者〉の攻撃だった。
 正面から突っ込んできた〈戦士〉は囮だった。〈ドラゴン〉の注意がそこに向かっている隙に、〈勇者〉が背後から仕掛けてきたのだった。
〈勇者〉が斬りつけたのは、首のつけ根、天然の鎧ともいうべき分厚い表皮に守られた〈ドラゴン〉の身体の中にあって、もっとも脆弱な部分だった。

 ──〈勇者〉め。

 だが、〈勇者〉の攻撃は〈ドラゴン〉にダメージを与えただけでなく、彼に激しい戦意を芽生えさせた。

 ──灼き尽くしてやる。
 ──忌まわしき〈勇者〉め。その仲間たちめ。

〈ドラゴン〉の怒りは、彼の裡に高熱の炎を巻き起こした。
 咆哮とともに〈ドラゴン〉の口から炎、否、眩い熱線が吐き出された。その白い光の帯はあたりを薙ぐようにして、近くのビルを蒸発させた。そのビルの屋上に陣どっていた〈魔法使い〉とともに。
〈ドラゴン〉は吠えた。
〈勇者〉のパーティ、その一角を崩した。邪悪な笑みを浮かべる代わりに、彼は再び吠えた。
 そこに〈戦士〉が突っ込んできた。
 大きな兜に隠され、その表情は窺えないが、仲間を失った怒り、悔しさは伝わってきた。
〈勇者〉が叫んだ。情に流されるな、使命を忘れるなと、〈戦士〉をたしなめる声だった。だが、一足遅かった。〈ドラゴン〉が再び吐き出した熱線は、正面から駆けてきた〈戦士〉、その背後で支援の魔法を繰り出す準備をしていた〈僧侶〉、ふたりを同時に塵に変えた。
〈勇者〉のパーティはたちまち三人を失った。
 残っているのは〈勇者〉のみだった。己の勝利を確信し、〈ドラゴン〉は全身を喜びに震わせた。

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