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第4章「怪物たちの死闘」|32:帰還

2015年09月21日

先読み情報
エネミーズ/1996 1

VIEW:三原一也 
SHEET:1-4-032
DATE:1996/08/13 TUE 19:27 
PLACE:西新宿

〈セイレーン〉は自壊し、一也たちは戦いから解放される


「……夜か。場所も離れてやがる」

 遠く離れた都庁を見上げ、波岡重治が呟いた。

「場所は合ってるんじゃないですか?」巧が口を挟んだ。「〈セイレーン〉から逃げたりとかで、かなり移動したはずですから」

 三原一也、山城巧、波岡重治、刈田めぐみ、四人が戦いのステージから解放され、“現実”に戻ると、すでに日は暮れ、新宿野村ビル裏手、新宿警察署が見えるあたりに移動していた。

「疲れたぜ、さすがに」

 植え込みの端に腰を下ろすと、波岡は「ふぅ」と重い溜息をついた。

「それにしてもよ。俺たちが見たのはなんだったんだ? 俺たちが殺されるところから始まる……アレは? なんの夢だ? どうして全員同じ夢だか幻だかを見たんだ?」
「夢じゃない……そう思うんですよ」

 一也が答えると波岡は、

「あ? 夢じゃないなら、なんだ?」
「可能性の未来? もうひとつの未来、みたいな?」答えたのは巧だった。「あそこで僕らが〈セイレーン〉に殺されていて、それがきっかけで三原さんが〈ドラゴン〉になったら起こるだろう、未来ってことじゃないんですか?」
「……もうひとつの未来か。だったとしてもだぞ」波岡は自分の額をこつこつ叩いた。「どうしてそれがやり直しになった? 〈セイレーン〉に殺される寸前に巻き戻された?」
「巻き戻されたっていうより、あそこにセーブポイントがあってのリロードってイメージでしたよね。しかも、僕らは失敗の記憶を持ったままで……」

 巧の言葉に、一也は深くうなずいた。

「なんであれ、どんなルートを通るにしても……下手をしたら、ああいう未来が待っている。誰かがわざと教えてくれたのかもしれない?」
「どうして?」めぐみが首を傾げた。「なんのため? あっ、警告だ。うまいことやんなさい的な?」
「かもしれない」一也は答えた。「さもなければ……希望を捨てさせるためかもしれない。どう足掻いたところで、待っている未来はああいうものなんだと」
「えー」めぐみが声を上げた。「だとしたら、それ、ちょっと性格曲がりすぎじゃない? 誰がやったことか知らないけど」
「誰がやったかは決まってる。そこにいる……月岡陶子だ」

 そう答えた一也の言葉、そして彼が指さした先を見て、巧たちは言葉を失った。
 植え込みの向こう、暗がりの中に月岡陶子が立っていた。妹の冴子と違い、長く伸ばした髪が風に揺れていた。

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