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第4章「怪物たちの死闘」|33:シナリオ

2015年09月22日

先読み情報
エネミーズ/1996 1

VIEW:三原一也
SHEET:1-4-033
DATE:1996/08/13 TUE 19:40 
PLACE:西新宿 

月岡陶子は三原一也に"シナリオ"について語る。それは導きか罠か……その答えを知る者はまだいない


「冴子さんはどうしてる? 無事なのか?」

 一也の再会第一声に、陶子は微笑んだ。

「心配して最初に訊くのはそれ? 大丈夫。あの子は可愛い妹だもん。ちゃんと守ってるから」
「……そうか。それはそれで安心した。だったら、こっちも本題のことを聞ける。俺が……俺たちが見た、あのビジョンはなんだ? 俺は〈ドラゴン〉になっていた。どれくらい先のことかわからないけど、それで現れた〈勇者〉たちと対決した……その先にあるのはこの世界の終わりだった」

 一也が陶子と対峙していると、巧、波岡、そしてめぐみは彼のまわりに集まってきた。皆、陶子の存在を恐れてか、その表情は強ばっていた。

「……一也君たちの考えてたことで、だいたい正解。あれは未来のビジョン。これから起こる回避不能の現実。必ず、あそこに至る」
「待て。……本当にそうなのか?」

 一也の言葉に、巧たちは顔を見合わせた。

「あの未来のビジョン、間の時間を飛ばして、一気に〈ドラゴン〉と〈勇者〉の対決になった。間、は、どこに行った?」

 陶子は返事をしなかった。

「未来なんて確定していない。たとえば、だ。RPGの“シナリオ”で……最後は決まってるだろう。ボスを倒して世界を平和に導く。それはプレイヤーには変えられない、器の問題だ。だけど」
「おいおい、なに言ってんだ?」

 波岡が口を挟んできたが、一也は構わず続けた。

「ラスボス戦に至るまで、ゲームで定められた範囲の中としても、プレイヤーの行動の積み重ねには無限の可能性がある。とてもシミュレーションできるようなもんじゃない。しかも俺たちは現実に生きている。ゲームにある枷はない。自由だ」
「……なにが言いたいの?」

 陶子が優しく問いかけてきた。

「つまり、だ。俺たちが見たのは、あくまでも可能性、否、誰かが導きたがってる未来の可能性に過ぎないって話だ。未来はいくらでも変えられる」
「本当にそうかな」

 ──そうこぼした陶子に、一瞬だが、ひどく寂しそうな表情が見えたことに、その時の一也は気づいていなかった。

「一也の言う通り、そこに至る道には無限の可能性があるかもしれない。でも、どうやっても、最後は決められているとしたら? ゲームの“シナリオ”と同じで」
「……シナリオがあるんだな、やっぱり」

 一也の質問に、陶子はうなずいて答えた。

「……そうか。それを聞きたかった」

 一也は強くうなずいた。

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