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第4章「怪物たちの死闘」|34:白き竜人

2015年09月23日

先読み情報
エネミーズ/1996 1

VIEW:三原一也 
SHEET:1-4-034
DATE:1996/08/13 TUE 19:46 
PLACE:西新宿 

戦いの道標を得た三原一也。しかしその道程は長く険しい


「俺たちの行動……いや、運命を規定しているシナリオ。それがある以上は……ある以上は壊すこともできるはずだ。形はともかく、明確に存在している以上は」

 一也の言葉に、陶子は「なるほどね」と笑った。

「随分回りくどかったけど、私から、その答えを引っ張り出したかったんだ。……だったら、きちんと答える。あるよ。今回のことのコアになってる“シナリオ”が。私が書いたの。それに従ってマップも作られるし、キャラクターも決まってる。まだまだ準備段階だけどね。肝心のあなたがまだその調子だし」
「つまり」

 一也の声は震えていた。

「月岡陶子。君自身がシナリオということだろ? 君次第でシナリオはどうにでもなるってことじゃないのか?」
「そうだね……たとえばだけど……私が死んだら、シナリオは自動的に破棄される……かもしれない。でも、だとしても、一也に私のことが殺せ……」

 陶子が言い終えないうちに、一也は彼女の手首をしっかりつかんでいた。
 そして、その手はもう人間のものではなかった。
 ──黒光りする、鎧にも似た外殻に守られた怪物……〈ドラゴニュート〉の姿に変身していた。

「もう逃がさない……逃がすわけにはいかない。力は戻ってるんだ」
「そう。でも、私もここで終わりにするわけにはいかないの」

 陶子はつかまれた右手をゆっくりと持ち上げた。押さえ込もうとする〈ドラゴニュート〉の力に余裕で逆らうと、彼女はその手を自身の胸のあたりに当てた。

「……身を守るための、それなりの準備もしてるから」

 陶子が微笑むと同時に、〈ドラゴニュート〉は、そして彼の背後にいた波岡たちは、凄まじい衝撃に吹き飛ばされた。

「み、三原さん……」

 尻餅をつきながら、怯えた巧が声を上げた。ほとんど悲鳴になっていた。

 陶子は変身していた。

 ──〈ドラゴニュート〉に。

 その体色は輝くような白、胸の膨らみや腰の細さなど、女性らしい特徴を残してはいたが、その姿形は変身した一也と瓜ふたつだった。
 そして、彼女の背後には無数の蠢く異形の影……怪物たちの姿があった。


「私はあなたには捕まらない。あなたが〈ドラゴン〉に……怪物たちの王になってくれるまではね」



『エネミーズ/1996』1巻/完


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